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【体験記】彩湖70kmウルトラマラソンで35kmリタイア…それでも前に進む理由

2025年4月13日日曜日

大会結果/ウルトラマラソン

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彩湖を背に会津磐梯山を見つめるバナナのランナーキャラクター。ウルトラマラソンのリタイアを乗り越え、サブテン完走を目指す前向きな姿を描いたサムネイル画像

彩湖ウルトラマラソン70km——今年もまた、35km地点でのリタイア。
けれどその瞬間、私の中には「敗北」よりも、前に進んでいる感覚がありました。
去年よりも準備できた。走りも安定していた。
それでも心が折れた——そこにウルトラマラソンの“本質”があるのかもしれません。


本記事では、当日のラップデータや補給戦略、リタイア理由を徹底分析。
さらに、100kmウルトラ完走→サブテン挑戦へと続く「成長の軌跡」をまとめました。
ウルトラ初心者から経験者まで、きっと気づきのある内容です。



彩湖ウルトラマラソンとは?アクセス・コース・大会概要

ウルトラマラソン。それは、42.195kmを超えて走り続ける者だけが知る、孤独と歓喜の旅。
「彩湖70kmウルトラマラソン」は、そんな“超距離”の挑戦を、身近な場所で、でも確かに深く体感できる舞台です。
会場は埼玉県戸田市にある「彩湖・道満グリーンパーク」。水と緑に囲まれた自然豊かなコースが、走る人の心と脚を静かに揺さぶります。


正式名称は「戸田・彩湖フルマラソン&ウルトラマラソン」。ウルトラ70kmとフルマラソンが同時開催され、2025年には記念すべき第20回を迎える伝統の大会。
初めてのウルトラ挑戦に選ばれる一方で、上級者にとっても「脚試し」の定番。それだけ“走る価値”がここにはあるのです。


魅力はそれだけではありません。1周約5kmの彩湖周回コースは、フラットで走りやすく、エイドも充実
何度も応援が受けられる、仲間とすれ違える、小さな「成功体験」が重なる——そんな周回コースならではの魅力が詰まっています。
ただし、同じ景色が続く“単調さ”は、メンタルの強さも試される構成。後半になるほど、本当の自分と向き合う時間が始まります。


制限時間は9時間(ゴール閉鎖17時)平均ペースは1kmあたり7分42秒以内。
「ペース配分」「補給」「装備」——準備不足では完走は難しい。それでも挑むのは、その先に“心が進化する瞬間”があるから


彩湖70km、それは記録では測れないレース。
リタイアしても、涙が出ても、それでも前に進みたくなる何かがある。
このブログでは、そんな「走る理由」を見つけたい全てのランナーに向けて、彩湖ウルトラの魅力とリアルをお届けします。



【2025年】彩湖70kmでリタイア…レース当日の記録

2025年4月12日。3年連続で挑んだ彩湖70kmウルトラマラソン

今年こそ完走を——そんな強い気持ちを胸にスタートラインに立ちました。
結果は、35km地点でリタイア(DNF)
しかしこのDNFは、ただの敗北ではありませんでした。過去とは違う、自分なりの前進がそこにはあったのです。


このパートでは、当日の走行データや気象条件、補給計画の実際を振り返りながら、何がうまくいき、どこに落とし穴があったのかを冷静に検証していきます。

ウルトラ初心者から中・上級者まで、次回に活かせるヒントがきっと見つかるはずです。


1kmごとのラップから見る走りの変化

彩湖70kmのスタート。午前8時、穏やかな気温とやや湿った空気の中、ランナーたちはそれぞれの旅路を走り出しました。

私の戦略は明確でした。「前半は抑えて、脚を温存する」

ウルトラマラソンにおける“突っ込み過ぎ”の怖さは、前年のリタイア経験から痛感していたからです。

前年の彩湖ウルトラ(71km)でも、61km地点で足が止まりリタイアしました。
しかしその経験は、ただの失敗ではなく、100kmウルトラを走るための「準備の失敗例」として貴重な学びになりました。





ウルトラマラソンの1kmごとのペース推移グラフ(1〜35km)|26kmでペースが乱れ始め、後半にかけて失速傾向が見られる

2025年彩湖ウルトラマラソン走行データ:35.04kmを3時間12分で走行、平均ペース5分29秒/km、平均心拍149、最高ペース4分52秒

実際、1〜25kmのラップは非常に安定しており、平均5:15〜5:30/kmで推移。
心拍数はLT以下(145〜152bpm)、 フォームも崩れず、「狙い通りの走り」ができていました。


ところが、26km地点で突如異変がでます。
足が止まった感覚はない。でも、気持ちがスッと切れてしまった
いま振り返れば、これは脚ではなく「心が折れた瞬間」でした。


「まだ走れる」「でも、もうやめたい」——。
肉体は動くのに、精神が前を向かない。
走りたい自分と、もう無理だと告げる自分が、心の中でぶつかり合っていました。


それでも身体はまだ動いていた。
だからこそ、今回のリタイアは「身体の限界」ではなく「気持ちの限界」だったと、今なら言えます。


以下は、当日のラップ一覧(カロス計測)です。データとしては終盤まで崩壊しておらず、最後まで“走れる状態”だったことが見て取れます。



km ラップタイム 平均ペース 平均心拍 ピッチ ストライド
1 0:05:26 5:26 140 173 1.08m
2 0:05:23 5:23 143 174 1.08m
3 0:05:17 5:17 145 174 1.09m
4 0:05:19 5:19 146 173 1.09m
5 0:05:16 5:16 147 173 1.10m
6 0:05:45 5:45 144 171 1.06m
7 0:05:31 5:31 145 172 1.07m
8 0:05:17 5:17 147 174 1.10m
9 0:05:21 5:21 148 173 1.09m
10 0:05:16 5:16 148 174 1.10m
11 0:05:53 5:53 146 171 1.05m
12 0:05:29 5:29 147 172 1.07m
13 0:05:17 5:17 148 174 1.09m
14 0:05:15 5:15 149 174 1.10m
15 0:05:09 5:09 150 174 1.11m
16 0:05:41 5:41 147 172 1.06m
17 0:05:22 5:22 148 173 1.08m
18 0:05:13 5:13 149 174 1.10m
19 0:05:17 5:17 150 173 1.09m
20 0:05:13 5:13 151 173 1.10m
21 0:05:41 5:41 149 171 1.06m
22 0:05:30 5:30 149 172 1.07m
23 0:05:15 5:15 150 174 1.10m
24 0:05:15 5:15 151 174 1.10m
25 0:05:09 5:09 151 175 1.11m
26 0:06:31 6:31 148 169 1.00m
27 0:05:22 5:22 149 171 1.06m
28 0:05:10 5:10 150 172 1.08m
29 0:05:13 5:13 151 172 1.09m
30 0:05:15 5:15 151 173 1.10m
31 0:05:29 5:29 152 172 1.08m
32 0:05:54 5:54 150 170 1.05m
33 0:05:15 5:15 152 172 1.09m
34 0:05:20 5:20 152 172 1.09m
35 0:05:24 5:24 153 171 1.08m

平均ペースは5:29/km
彩湖の微妙なアップダウンにも適応し、リズムよく走れていた前半。
しかし、26kmあたりからのペースの波は、肉体よりもメンタルの崩れを映し出していました。


そして、35km地点のエイドで、身体は動く。でも、もう走りたくない。
そんな矛盾した状態が、「心が完全に折れた」ことをはっきりと教えてくれました。


ペース戦略・補給・気象条件などの振り返り

彩湖ウルトラマラソン2025——35kmでのリタイアは、決して脚の限界ではありませんでした。
はっきり言えるのは、「心が先に終わった」という事実。
エネルギーも脚力も、まだ残っていた。けれど、心だけが「もうやめよう」と静かに告げた
それが今回の最大の敗因であり、最大の学びでもありました。


  • ●ペース戦略: 入りの数kmは5:15/km前後で想定どおりだったが、序盤の気持ちの高ぶりで冷静さを欠いた。
    結果として、余力を残すべき30km以降に崩れた

  • ●補給の課題: 「胃に優しく」とジェルを控えすぎ、低血糖に近い状態へ。
    集中力が切れ、気持ちが弱る隙間を生んでしまった。

  • ●気象条件: 気温22〜24℃、湿度やや高め。
    身体への影響は軽微と思っていたが、じわじわと“消耗”していたのだと後で気づく。

正直なところ、ゆっくりなら完走出来たと思います。
でも、35km地点のベンチでふと湧いたのは、「もう、いいかな」という気持ち。
それは突然ではなく、補給ミス・環境ストレス・内なる不安が少しずつ積み重なった末の静かな終わりでした。


ウルトラマラソンでは、走力以上に“心の体力”が問われる——
あらためて、それを身にしみて実感したレースとなりました。


実際に走って分かった課題と今後の改善点

彩湖ウルトラマラソン2025(70km)は35kmでのリタイア。
しかし、ただの失敗ではありません。1kmごとのデータを振り返ることで、「何ができていて」「どこに落とし穴があったのか」が明確になりました。
ここでは、その分析結果と今後に向けた具体的な改善点を紹介します。


① 前半の走りは◎:基礎力は十分

  • 1〜25kmは5:13〜5:30/kmで安定
  • 心拍もLT以下(145〜152bpm)と理想的な範囲
  • ピッチ・ストライドも安定 → フォーム崩れなし

② 26kmから“メンタル崩れ”の兆候が発生

  • 26kmだけが突出して遅い(6分31秒/km)
    → この区間ではエイドで温かい麺を食べたため、滞在時間が長くなった。
    ペースの乱れは補給優先の判断によるものだが、気持ちのリズムが一度途切れたことも否めない。
  • 心拍や脚には余力あり → 精神的なスイッチ切れ
  • 気づかぬうちに、気持ちのスタミナが消えていた

③ 補給ミス → 集中力&脚攣りを引き起こす

  • 「胃に優しく」とジェルを後回しに → 低血糖傾向
  • 終盤でケイデンス・ストライド共に低下
  • 心拍は上がらず → エネルギー切れ+脚の売り切れ

④ 今後の改善ポイントまとめ

課題 改善策
ペース戦略 ネガティブスプリットを意識
補給管理 15kmごとに「ジェル+塩タブ+水」固定パターンを構築
筋持久力 30〜40kmのLSD走+坂道走で「脚の粘り」を養う
脚攣り対策 マグネシウム・BCAA・クエン酸+ギア見直し(ソックス・インソール)


リタイアは終わりではなく、次に進むための最強の学びです。


ウルトラマラソンのリタイアから学び続ける

彩湖ウルトラマラソン——それは、私にとって“挑戦の舞台”であると同時に、“学びの原点”でもありました。
実は今回で2年連続のDNF(途中棄権)
昨年の第19回大会(71km)では61kmでストップし、そして今年は35kmで立ち止まりました。


ただし、今回のリタイアは「また同じ失敗を繰り返した」という後悔ではありませんでした。
明確な違い——それは“準備の深さ”と“走りの質”
昨年は補給もペースも感覚頼みでしたが、今年は戦略を立て、データを意識し、走りの1kmごとに意味を持たせていました。


それでもリタイアしてしまった。
でも、それは「またダメだった」という絶望ではなく、「失敗の質が変わった」という手応えでもありました。
前進の証は、“結果”ではなく“気づきの深さ”に宿る——そう思えた自分がいました。


そして私は、こう決めました。
もう、彩湖は走らない。

それはリタイア続きの悔しさではなく、「周回コースがどうしても苦手」という、個人的な性格からの決断です。
景色の変わらない周回を淡々と走るよりも、ゴールに向かって“進む感覚”があるコースの方が、私は好きだと気づきました。
彩湖での経験は、そうした自分の“適性”を教えてくれた。
この気づきは、次のウルトラ挑戦に必ず活きると確信しています。


彩湖のリタイアを経て見えてきたのは、ウルトラマラソンにおける“心のスタミナ”の重要性でした。

筋力やVO2maxだけでは太刀打ちできない——それがウルトラの世界。
そして、こんな言葉が心に刺さります。

「フルマラソンが速い人が、ウルトラも速いとは限らない」

まさに、“ウルトラにはウルトラの走り方”があるのです。


より詳しくこの気づきや、完走率・リタイア傾向・メンタルの崩れ方について深掘りした内容は、以下の記事にまとめています。
「自分はなぜ止まってしまったのか?」と悩む方にもきっと役立つはずです。


DNFは敗北ではない。「次に生きる失敗」こそが最大の武器です。
自分の失敗パターンを知り、次の挑戦ではその“穴”を1つずつ埋めていく。
それが、ウルトラマラソンに向き合うということです。



次の目標へ:会津100kmでサブテン達成を目指す

彩湖ウルトラマラソン70km——2年連続のリタイアを乗り越え、私はついに「100km完走」を経験しました。
挑んだのは、第3回 会津磐梯山ウルトラマラソン100km
結果は、しっかり完走。でも、まだ満足していません。


次なる挑戦は、サブテン=100kmを10時間以内で走り切ること。
タフな山岳コースで結果を出すには、走力だけでなく戦略・補給・メンタルのすべてが求められます。
彩湖でのDNF、会津での完走——その経験のすべてを武器に、次は「結果で証明する」ステージへ進みます。


サブテンの鍵となるのは、後半の粘りエネルギー管理
フルマラソンとは違い、「余力を残し続ける走り」が必要です。
そのために、練習の中でも「ネガティブスプリット」や「30〜40kmのLSD+坂練」など、強化ポイントを明確にして取り組みます。


私にとって、100kmを走ることは「挑戦」だけでなく、「自己理解の旅」。
サブテンは、過去の自分との決別であり、新しい自分との再会でもあります。


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プロフィール(著者)

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昭和49年生まれ
2017年1月1日からランニングを始める。
初めての10km走を75分

トレーニング方法を学び、芝生ランニングにたどり着く

その結果
2年と11ヶ月で2:58:08(サブスリー)
その後、
1年と4カ月で2:49:35(サブエガ)

5000m: 17:22
10km: 35:33
ハーフマラソン: 1:18:47
フルマラソン: 2:49:35
ウルトラマラソン: 挑戦中

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