マラソンを始めるとき、どのようにトレーニングを進めていけばよいのか迷うことはありませんか?
その答えの一つが、ダニエルズのランニング フォーミュラです。
ダニエルズのランニング フォーミュラは、ジャック・ダニエルズ博士によって提唱されたマラソンのトレーニング法で、その効果は多くのマラソンランナーに認められています。
Eペース、Mペース、Tペース、Iペース、Rペースを理解することで、体系的なトレーニングを行うことができます。
この記事は、ランニング フォーミュラについて説明します。
ダニエルズのランニング フォーミュラとは何か?
ダニエルズのランニング フォーミュラは、マラソンのパフォーマンスを最大化するための練習方法です。
この法則は、マラソンランナーが自分の現在の能力に応じて練習の強度を指標に基づいて調整することが可能になります。
ダニエルズのランニングフォーミュラには、以下のような具体的なペースを表す言葉があります。
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Eペース(Easy Pace)
:これは、楽なペースでのランニングです。息が苦しくならない程度の速さで、長時間走ることができます。 -
Mペース(Threshold Pace)
:フルマラソンのランニングペースです。息は苦しくない状態の速さで一定の時間を維持することができます。 -
Tペース(Threshold Pace)
:これは、しっかりとしたペースでのランニングです。息が苦しくなる程度の速さで、一定の時間を維持することができます。 -
Iペース(Interval Pace)
:これは、高強度のインターバルトレーニング用速度です。短時間の高速走と休息を繰り返します。 -
Rペース(Repetition Pace)
:これは、最大限の速さでの短距離走を走る速度です。全力で走りその後十分に休息を取ります。
息が苦しくならない程度の速さや、息は苦しくない状態の速さなど、抽象的な速度は困ってしまいますよね?
そこで、使われるのが、ダニエルズが開発した計算機です。
ダニエルズのVO2MAXの計算方法
Eペース、Mペース、Tペース、Iペース、Rペースの計算方法は、ダニエルズVO2MAXの計算に基づきます。↓をアクセス
VO2MAX計算サイト
方法:
- 10kmを入力
- ベストタイムを入力
- Calculateをクリック
- Trainingのタブをクリック
※バナナぴろしは10kmの入力が良いと思ってます。
例えば、10km 38分で入力すると
1km Eペース 4'44~5'13
1km Mペース 4'10
1km Tペース 3'56
1km Iペース 3'37
1km Rペース 3'32
参考記事はこちらを読んでください。
ダニエルズのランニング フォーミュラを活用するメリット
ダニエルズのランニング フォーミュラを活用すると、以下のようなメリットがあります。
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効率的なトレーニング
:自分の能力に合わせてトレーニングの強度を調整することで、効率的にトレーニングを進めることができます。 -
怪我の予防
:適切な強度でトレーニングを行うことで、怪我のリスクを減らすことができます。 -
パフォーマンスの向上
:科学的に証明されたトレーニング法を用いることで、マラソンのパフォーマンスを向上させることができます。
マラソン初心者の方々にとっても、ランニングフォーミュラは非常に有用なツールになります。
自分の能力に合わせたトレーニングを行うことで、効率的に走力を向上させ、マラソンやランニングを楽しむことができます。
ダニエルズのランニング基本原則についての説明
ダニエルズ教授は、トレーニングの原理を理解した上で「この練習の目的は何か 」を常に答えられるものであるべきと提言しています。これが、トレーニング効果を最大限にするのに必要な考え方になります。
トレーニングは、身体に刺激を与えることで、身体がその刺激に適応しようとする反応によるもので、筋肉の成長や心肺機能の改善などによりパフォーマンスが向上します。
しかし、過剰な刺激、すなわち過度なトレーニングはパフォーマンスの低下や怪我のリスクの増加につながります。
トレーニング量を増やしても、あるレベルを超えるとパフォーマンスの向上は限定的になります。
トレーニングによって獲得した身体能力は、継続的なトレーニングを通じて維持することが可能です。
しかし、トレーニングを停止すると、これらの能力は徐々に低下します。
最大酸素摂取量(VO2max)、乳酸性作業閾値(LT)、ランニングエコノミー(RE)とは?
下記の3要素はランナーの速度と持久力に直接影響を与え、それぞれの機能を最大限に引き出すことがランニングパフォーマンスの向上につながります。
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最大酸素摂取量(VO2max):
この数値はランナーが一分間に摂取および使用できる酸素の最大量を表し、主に心肺機能の効率性を示します。
高いVO2maxは、ランナーが高い強度で長時間運動を続ける能力があることを意味し、エリートランナーの間では特に重要な指標とされています。
VO2maxを向上させるには、高強度のインターバルトレーニングや持久力を要求する長距離ランなどが有効です。 -
乳酸性作業閾値(LT):
LTは、運動中に体内で生成される乳酸が蓄積し始める運動強度のポイントを指します。
この閾値を超えると、乳酸は急速に蓄積し、疲労とパフォーマンスの低下を引き起こします。
高い乳酸性作業閾値を持つランナーは、より高い強度で長時間走ることが可能になります。
乳酸性作業閾値を高めるトレーニングには、閾値走が効果的です。 -
ランニングエコノミー(RE):
ランニングエコノミーは、走行に必要なエネルギーの量を示す指標で、より少ないエネルギーで速く、または遠くまで走れる能力を表します。
効率的なランニングエコノミーを持つランナーは、同じ努力でより良いパフォーマンスを発揮できます。
ランニングエコノミーの向上には、フォームの最適化、筋力トレーニング、柔軟性の向上、および適切な靴の選択が重要です。
これらの要素への理解と焦点を当てたトレーニングは、ランナーがより速く、より長く、そしてより効率的に走るための鍵となります。
Eペース、Mペース、Tペース、Iペース、Rペースの意味
各ペースは、VDOTの理解し、計算機で算出します。
ダニエルズのVO2MAXの計算方法
Eペースの重要性とは?
ランニングのトレーニングにはさまざまな要素がありますが、その中でも基本となるのがEペース(Easy Pace)です。
これは、VO2maxの59~74%程度の強度で行うトレーニングで、その目的はケガに対する耐性を作り上げること、心筋の発達を促進すること、そして毛細血管の新生を促すことです。
Eペースのトレーニングは、身体に適度な負荷をかけつつも、長時間続けることが可能です。
そのため、最大で150分までのトレーニングが推奨されています。
また、ロング走についてもEペースが重要な役割を果たします。
週間64km未満のランナーは、1回の走行距離を週間走行距離の30%以下にとどめることが推奨されています。
これは、身体への過度な負荷を避け、長い距離を走るための基盤を整えるためです。
マラソンのMペースについて深掘り
マラソンのトレーニングにおいて、'Mペース'という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは、Marathonの頭文字から取られており、マラソンレースの設定ペースで走るトレーニングを指します。
マラソンを走った経験がないと、どのくらいが適切なペースか判断するのは難しいかもしれませんが、ダニエルズのVO2MAXの計算方法を使うことで、適切なMペースを予測できます。
入力値は、最近のレースの中でも比較的距離が長いレースの結果を用いると良いでしょう。
例えば、1500mのレースタイムよりもハーフマラソンのタイムで予測する方がより正確です。
以下にいくつかの例を示します:
- ハーフ 80分の場合:Mペース 3’58/km
- ハーフ 90分の場合:Mペース 4’27/km
- ハーフ100分の場合:Mペース 4’56/km
- ハーフ120分の場合:Mペース 5’52/km
市民ランナー界では、Mペースの30km走がレース前の儀式のように頻繁に行われていますが、このペースでやる必要は必ずしもありません。
Tペースランニング(閾値走):マラソントレーニングの視点
マラソントレーニングにおける重要な要素の一つに「Tペースランニング:閾値層」があります。
これはThreshold(閾値)の略で、閾値を刺激するペースという定義になります。
閾値とは、運動強度を上げていくと血中乳酸濃度が2mmolを超えて3mmolあたりで急に上昇するポイントを指します。
この変換点が閾値となります。
Tペースは、Mペースよりも速いペースで走ることを意味します。
これは、比較的速く走ってはいるが、そこそこの時間(練習なら20分~30分)維持できるペースを指します。
具体的なペース
- フルマラソン2時間半の場合:Tペース 3’23/km
- フルマラソン3時間 の場合:Tペース 3’59/km
- フルマラソン3時間半の場合:Tペース 4’35/km
- フルマラソン4時間 の場合:Tペース 5’11/km
Tペースランニングの目的は、血中の乳酸を除去し十分処理できる濃度に抑える能力を高めることです。
これにより、持久力を向上させることができます。
週間走行距離の10%以下がTペースランニングの上限とされています。
1回の練習は20分を勧めております。
Iペースによるインターバルトレーニング:最適な方法とその目的について
ランニングの練習方法の一つであるインターバルトレーニングについて解説します。
このトレーニングは、一般的には速く走ってちょっと休んでまた速く走るというパターンを繰り返すことです。
インターバルトレーニングの目的は、有酸素能力、すなわちVO2maxの向上です。
VO2maxを向上させるためにはVO2max付近の負荷をかけることが重要となります。
そのため、疾走時間と休息時間が重要になります。
インターバルトレーニングでの疾走時間は3分~5分が適正とされています。
なぜなら、この時間以上の疾走は非常に厳しく、またVO2は完全に回復せず、次の一本でより短い時間でVO2maxに達してしまうからです。
また、安静時からIペース(インターバルペース)で走り始めると、VO2maxに達するまで約2分かかります。
速く走ってもこの到達時間はほとんど変わらず、むしろ速く走りすぎると酸素負債が増えて途中で失速する可能性があります。
したがって、インターバルで最初に速く入りすぎて後半失速する練習は効果が低いと言えます。
インターバルトレーニングの時間が3分~5分で、VO2maxへの到達が2分なので、この2分を差し引いた1~3分がVO2maxを刺激できる時間となります。
インターバルトレーニングの目的はVO2maxの向上だけではありません。
ある一定のスピードで走ることの耐久力を上げることや疲れている状態でのスピード維持能力を上げるなどいろいろな目的があります。
インターバルについての重要記事はこちらを読んでください。
Rペースとは何か
RとはRepetition、繰り返しを意味します。
陸上競技に慣れていないランナーにとってはなじみのない語かもしれませんが、これがRペースの基本です。
Rペースのトレーニングには、無酸素性作業能力、スピード、ランニングエコノミーの向上という三つの目的があります。
無酸素性作業能というとマラソンとは無関係のように感じられますが、例えば同じ400mを70秒で走る二人のランナーがいたとします。
そのうちの一人はリラックスして走ることができ、もう一人は全力で走らなければならないとしたら、同じ80秒で長距離を走れるのは明らかにリラックスして走れる方です。
つまり、無酸素性作業能力を上げることで、同じスピードでもより効率的に走ることができ、それにより長距離を走る能力も向上します。
- フル2時間半のRペース:2’52/km
- フル3時間 のRペース:3’25/km
- フル3時間半のRペース:3’58/km
- フル4時間 のRペース:4’31/km
基本的には400mの疾走と休息を繰り返すのがRペースの走り方です。
特に重要なのは、体を十分に回復させ、正しいフォームで速く走ることです。
休息時間は、疾走時間の2~3倍が理想的でしょう。
たとえば、400mを70秒で走った場合、休息時間は2分半~3分半くらいになります。
ダニエルズのランニング フォーミュラに関する一般的なQ&A
質問 | 回答 |
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ダニエルズのランニング フォーミュラとは何ですか? | 個々のランナーの能力に基づいてトレーニングの強度を調整する方法を提供する、科学的に支えられたトレーニングプログラムです。 |
各ペース(E、M、T、I、R)の目的は何ですか? | Eペースは回復と耐久力向上、Mペースはマラソンペース、Tペースは乳酸閾値向上、IペースはVO2maxの向上、Rペースはスピードと筋力向上のためです。 |
ダニエルズのランニング フォーミュラを使う主な利点は何ですか? | 最大の利点は、個人のレベルに合わせた科学的に根拠のあるトレーニングが可能であること、そして怪我のリスクを減らしながらパフォーマンスを向上させることができることです。 |
VO2maxを改善するにはどのペースでトレーニングすべきですか? | Iペース(インターバルペース)でのトレーニングがVO2maxの改善に効果的です。これは高強度の短距離走を休息を挟みながら繰り返します。 |
長い距離を走る耐久力をつけるにはどのペースが適切ですか? | Eペース(イージーペース)での長距離走が耐久力をつけるのに適しています。これは体に負担をかけすぎず、長時間走ることができます。 |
マラソンペース(Mペース)のトレーニングはどのような効果がありますか? | Mペースでのトレーニングは、実際のマラソンレースでのペースを体に慣らすのに役立ち、レース中のパフォーマンス向上に繋がります。 |
Tペースでのトレーニングはどのように行うべきですか? | Tペース(閾値ペース)は、乳酸が急速に蓄積し始める速度で走るトレーニングです。持続可能な限界速度で一定時間走り、乳酸閾値の向上を目指します。 |
Rペーストレーニングの主な目的は何ですか? | Rペース(繰り返しペース)トレーニングの目的は、スピードと筋力の向上、無酸素性能力の強化、およびランニングエコノミーの改善です。 |
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