この記事では、ランニングにおける「スピード持久力」を高めるためのトレーニング方法である「閾値走(いきちそう)」について詳しく解説しています。スピード持久力とは、高速なペースを長時間維持する能力であり、特にマラソンや中距離レースでのパフォーマンス向上に欠かせない要素です。初心者から上級者までが実践できる具体的な練習方法、設定ペースの考え方など、実際のトレーニングに役立つ情報を提供します。
スピード持久力を高める閾値走トレーニングとは?
閾値走とは、ランナーがスピード持久力を向上させるための非常に効果的なトレーニング方法です。これは、ランニング中の酸素摂取量を最大限に引き出すために必要なvo2maxを向上させる重要なキーワードでもあります。
※VO2MAX(ブイオーツーマックス)は、体が運動するときにどれくらい効率的に酸素を使えるかを示す数字です。
この数字が高いほど、運動中にたくさんの酸素を体に取り込んで使えるので、もっと速く走ったり、長い時間運動できるようになります。
閾値走は、「ほどほどきつい」と感じるレベルでのランニングを一般的には20分程度継続して行います。心拍数を閾値に近いレベルで継続することがポイントで、このトレーニングによって、ランナーはペースを上げても安定して走り続ける能力を養うことができます。
ランニング初心者にとっては少しハードルが高いかもしれませんが、着実に効果を実感できるでしょう。
このトレーニング方法は、インターバル走とは異なり、一定の強度を維持し続けることに焦点を当てています。インターバル走は高強度と低強度を交互に繰り返すのに対し、閾値走は持続的に強度の高いペースで走ることとなります。
一般的には、週に1回程度を目安にこのトレーニングを取り入れると良いとされていますが、ランナーの経験値やレベルに応じて週何回行うかは調整が必要です。サブ3やサブ4を目指すランナーであれば、ペース設定や距離を考慮し、計画的に取り組むことが求められます。
効果が出るまでには多少時間がかかるかもしれませんが、定期的に閾値走を取り入れることで、着実にランニングの質が向上し、目標タイム達成への道が開けてくるはずです。
スピード持久力とは?
スピード持久力とは、ランナーが高速なペースを維持しつつ、長時間または長距離を走り続けることができる能力を指します。この能力は、特に5km、10km、そしてハーフマラソンのような中距離レースにおいて非常に重要です。なぜなら、中距離レースでは、高速で走り続けるためにスピード持久力が求められるからです。また、フルマラソンでは、スピード持久力があることで、ペースに余裕が生まれ、安定した走りが可能になります。
例えば、サブ3(3時間以内でフルマラソンを完走)を目指すランナーは、全体を約4分15秒/kmのペースで走り続けることが求められます。
一方でサブ4(4時間以内で完走)を目指すランナーであれば、約5分40秒/kmのペースが必要です。
これらのタイムを達成するためには、単にスピードを上げるだけでなく、そのスピードをいかに長く維持するかが必要となります。
つまり、スピード持久力はレース全体のパフォーマンスを左右する要素であり、トレーニングの中心的な課題として取り組むべきものです。
このスピード持久力を高めるための方法として、まずは自分の適正なペース設定を知ることが重要です。
それには、自身のvdot(トレーニングやレースパフォーマンスを評価する指標)を把握し、それに基づいて練習の閾値走タイム(Tペース)設定ペースを決めることが推奨されます。
適切なペースを設定することで、無理なくトレーニングを継続することができ、より効果的にスピード持久力を向上させることができます。
適正ペースについて詳しく知りたい方は、ぜひこの記事をご覧ください。
Eペース、Tペース、Iペース、Rペースの意味と練習方法について詳しく解説しています。
また、スピード持久力の向上には心拍数の管理も欠かせません。
心拍数を一定の範囲に保ちながらトレーニングを行うことが重要ですのでトレーニング時に心拍数をモニターしてください。
最後に、スピード持久力の向上は一朝一夕には達成できません。
効果が感じられるまでには、3ヶ月の時間がかかると思いまうが、地道にトレーニングを重ねることで確実に成果を得られるでしょう。
科学的に証明された閾値走の驚くべき効果とは?
閾値走は、単なるトレーニング方法ではなく、その効果は多くの研究によって科学的に証明されています。このトレーニングの主な効果は、ランナーがより高いペースで長時間走り続ける能力を向上させることにあります。
これは、体がvo2max(最大酸素摂取量)を効率的に利用する能力を高めることで実現されます。
vo2maxは、ランニングパフォーマンスを左右する最も重要な指標の一つであり、この指標が高ければ高いほど、より速いペースで走ることが可能になります。
さらに、閾値走は乳酸の蓄積を遅らせる効果もあります。
乳酸は、体が酸素不足に陥ったときに生成される物質で、これが筋肉に溜まると疲労を感じやすくなります。
このトレーニングでは、乳酸が急激に蓄積するポイント、つまり「乳酸閾値」に近い強度でランニングを行うため、体が乳酸を効率的に処理できるようになり、結果としてより高いペースを長時間維持できるようになるのです。
閾値走の練習方法
閾値走の練習方法は誰でも効果的に取り組むことができます。まず、閾値走を効果的に行うための最も一般的な方法は、約20分間、そこそこキツイペースでランニングを行うことです。
このトレーニングでは、心拍数を自分の乳酸閾値に近いレベルに維持することが重要です。
これは、速すぎず、遅すぎない「そこそこきつい」ペースで走ることを意味します。
ペース設定は、自分のvdot(最大酸素摂取量に基づくトレーニング指標)に基づいて行うと良いでしょう。
設定ペース
VDOT | 5kmタイム | ハーフタイム | フルタイム | 閾値走タイム(Tペース) |
---|---|---|---|---|
40 | 24:08 | 1:50:59 | 3:49:43 | 5:06 |
41 | 23:38 | 1:47:04 | 3:45:46 | 5:02 |
42 | 23:09 | 1:44:20 | 3:41:57 | 4:59 |
43 | 22:41 | 1:41:34 | 3:38:28 | 4:55 |
44 | 22:15 | 1:38:49 | 3:34:43 | 4:51 |
45 | 21:50 | 1:36:12 | 3:30:43 | 4:47 |
46 | 21:25 | 1:33:35 | 3:26:53 | 4:44 |
48 | 20:39 | 1:28:31 | 3:14:06 | 4:31 |
49 | 20:18 | 1:26:04 | 3:10:49 | 4:28 |
50 | 19:57 | 1:23:10 | 3:07:49 | 4:24 |
51 | 19:36 | 1:20:37 | 3:04:36 | 4:21 |
52 | 19:17 | 1:18:09 | 3:01:39 | 4:18 |
53 | 18:58 | 1:15:40 | 2:58:47 | 4:15 |
54 | 18:40 | 1:13:14 | 2:56:01 | 4:12 |
55 | 18:22 | 1:10:47 | 2:53:20 | 4:10 |
56 | 18:05 | 1:08:21 | 2:50:33 | 4:06 |
57 | 17:49 | 1:05:57 | 2:47:55 | 4:03 |
58 | 17:33 | 1:03:34 | 2:45:19 | 4:00 |
59 | 17:17 | 1:01:12 | 2:42:45 | 3:57 |
60 | 17:03 | 59:52 | 2:40:13 | 3:54 |
61 | 16:48 | 57:32 | 2:37:43 | 3:51 |
62 | 16:34 | 55:15 | 2:35:14 | 3:48 |
63 | 16:20 | 52:59 | 2:32:47 | 3:46 |
64 | 16:07 | 50:44 | 2:30:22 | 3:43 |
65 | 15:54 | 48:30 | 2:27:58 | 3:40 |
66 | 15:42 | 46:17 | 2:25:35 | 3:37 |
67 | 15:29 | 44:06 | 2:23:14 | 3:35 |
68 | 15:18 | 41:57 | 2:20:54 | 3:32 |
69 | 15:06 | 39:50 | 2:18:36 | 3:30 |
70 | 14:55 | 37:43 | 2:16:18 | 3:27 |
自分の目標に応じてペース表を参考にし、設定ペースを守りながら練習を進めることが大切です。
さらに、閾値走を効果的に行うためには、ウォームアップとクールダウンをしっかりと行うことが欠かせません。
ウォームアップでは、体をしっかり温め、筋肉と関節を準備させるために、軽いジョギングやダイナミックストレッチを取り入れましょう。
クールダウンでは、心拍数を徐々に下げるために、軽いジョギングや静的ストレッチを行い、筋肉の回復を促進させます。
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